■第91号 2005年9月19日号

■社説〜ハイカ廃止は不心得者への制裁、とばっちり受ける真面目な利用者


  ついに今月15日をもって、ハイウェイカード(ハイカ)の販売が終了された。高速道路の利用促進と料金所での支払いを迅速化させるために誕生したハイカは当時、5万円券を購入すれば8000円分というプレミアが付くことで、一般利用者からも多く利用された。
  それが縮小、廃止の道を辿った背景には、まずは偽造カードの氾濫にあった。高速道路のSAやPAでは当時、休憩中の職業および一般ドライバーらに精巧な偽造カードの購入を呼び掛ける不審者さえ姿を見せたし、暴力団などが組織的に偽造カードであることを明かしたうえで、ヘビーユーザーである運送事業者などに販売していた。事実、ある運送事業者から「1枚25000円で買った」と、偽造された5万円券を見せてもらったこともある。
  こうした偽造カードの氾濫に、日本道路公団(JH)は高額ハイカの販売と利用を停止する措置で対抗を図った。しかし、これは単に偽造ハイカの防止だけが理由ではなかった。巨額の費用を投じて研究開発およびシステムを設置したETCが当時、その存続すら危ぶまれるほど低迷していた普及率を上げるという狙いもリンクしていた。この当時のJHや国土交通省は、ETCシステムの信頼性の低さを目立たせないようにするために、偽造ハイカの防止であることを、高額ハイカ廃止のおもな理由として強調していた。これが2つ目の理由だ。
  その後、システムの信頼性が上がり、車載器のバリエーションが増えて廉価となったことで、ETC普及率はJHの思惑に近付くようになった。ETCであれば廃止された5万円券と同様の割引を受けられるという白々しい措置が、これを更に後押しした。
  しかし、ハイカ廃止の理由は、まだこのほかにも存在している。そのひとつが、異業種で構成される「別納組合」といわれる協同組合の存在だ。運送事業者だけで構成される組合は事業のひとつして別納事業を営んでいるが、別納組合の場合は単に利用者となる組合員から上前をはねているのが実態だ。すべてに当てはまる訳ではないが、そうした別納組合は多い。
また、不正経理事件などで、割引かれた料金が一部の組合幹部を肥やしていた実態が判明し、世間から厳しい批判を浴びた。現に今でも一部の別納組合では不正および乱脈経理がまかり通っている。こうした事件をきっかけに別納制度の割引体系が変更されたが、これにより別納組合の手数料収入は減ったケースが大半だ。今回のハイカ廃止により、さらに別納組合の収入源が閉ざされることとなる。こうしたことから、ハイカ廃止の理由の中に別納組合への制裁が加わっていることは否めない。
このほかにも理由は存在するが、いずれも一部の不心得者の悪行によってハイカは消え去る運命となった。結局、ETCを利用することができない真面目な一般利用者だけが、何の割引も受けられなくなるのである。    (Y)

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