■第91号 2005年9月19日号

■物流記者トラ男のひとりごと

 
わが国の歴史上、異常気象などによって過去に何度も食料の大飢饉を向かえており、江戸時代には百姓一揆なる暴動が幾度となく発生してきた経緯がある。食料自給率が低い国内において、作物の豊作は喜ばしいはずだ。
  ところが今夏、採れ過ぎた野菜が収穫されることなく、次々と畑で廃棄処分される光景がマスコミに取り上げられている。何も今年だけに限った光景ではないが、いつ見てもけっして爽快なものではない
。 その代表格がキャベツだ。国内で最大の産地である群馬県ではJAの指導のもと、連日のように農業用トラクタで押し潰された。農作物は元々、不作に備えて出荷需要より2割ほど多く生産しているが、キャベツの場合はキロあたり38円を下回れば採算が取れないという。付け合せでキャベツを大量消費する豚カツ屋をはじめ、一般消費者にとっては喜ばしいことではあるが、これが生産者の立場になるとまったく逆になると、同県で現在、ナスの収穫と白菜の種蒔きに汗を流している農業の知人が語っていた。
  サービス業に属する運送事業の場合は、規制緩和という名目により事実上、国の保護を受けることができなくなった業種だ。トン建て、個建て運賃が例え採算を下回ろうと、悲しいかな請け負わなければ市場から抹殺されかねない現実がある。
  必要不可欠という点においては、農業も運送事業もさほど大差はないはずだ。だが、一方ではJAなる団体が損失を補填するが、もう一方には何の補償もない。キャベツと同様に、多くの事業者が押し潰されていく光景も不愉快極まりない。

<<<Back
- CopyRight(C)2006 B-TIMES AllRight Recieved -